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万年青品評会

 万年青品評会
おもとひんぴょうかい

 オモトは文政年間(1818~1830)から流行し、なかでも小万年青(こおもと)と呼ばれた小型品のうち、
葉や斑(ふ)に変化があるものがもてはやされました。
下の写真(資料)は天保3年(1832)に藏前八幡で開かれた小万年青の展示会に際して刊行された刷り物で、
各帖とも15品が描かれています。美しい鉢も見所の一つで、当時は鉢も大事な鑑賞の対象でした。
大名・旗本の逸話・市井の風俗などの見聞を筆録した江戸後期の肥前平戸藩主松浦静山(まつらせいざん)の
随筆『甲子夜話』(かっしやわ)には次のように記されています。


天保3年9月 小万年青(こおもと)の集会
時々に流行するは、先年千両金〔タチバナ潅木の一名〕世高価を争ひ誇り、その弊甚く、遂に官より停禁の令下れり。
其後牽牛花(アサガオ)なりしが、今は是も跡形なく、又近頃は小万年青(こおもと)頻りに行わる。
予は世外の身ゆゑ、知ずして有りしが、この壬申(天保3年)9月十五日か、
御倉前八幡の辺を過ぎ行しに、鳥居に貼紙して、今明日小万年(こおもと)の 聚会と題す。
因て人にそのことを聞くに、いよく十五日六日此事ありと。
其体、彼の別当の坐鋪に折廻はして五間と四間余の三層棚を構へ、凡九十余種の小万年 を陳ね置き、人をして見せしむ。
其観、尤麗美とす。又悉くその形状を図写せし小本を刊行す。人購じ来て予に示す。
(中略)斯の如きもの折々流行すること、 其本を云はゞ、人事のみにも非ずして、天なるべし。
予嘗て聞く。戦国には人の生まるゝ、女少ふして男多しと。是れ自然の理也。
(中略)其理万古不易にし て、今昇平の世、この如き不用物の流行するも、又天事と云て可也。


色刷りの案内『小万年青名寄』《水野忠暁編・関根雲停画天保3年(1832)刊》
(甲子夜話続篇九十一『甲子夜話続篇8』所収)は
                  国立国会図書館のホームページ画面(リンク集参照)

であり、すでに国立国会図書館から転載使用についてその許諾を得ておりますので、その写真を掲載します。
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【其の他】
神事としての[放生会](ほうじょうえ)や[力くらべ](奉納力持)など。