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奉納力持

江戸時代の神事

 文化年間後期から文政年間にかけて素人(しろうと)の力持(ちからもち)を称える文化がありました。
当社でも力持の技芸を披露する神事が奉納されました。
 分けても、その絶頂期を迎えた文政七年(1824)の春に奉納された力持は浮世絵師歌川國安の錦絵にも描かれています。
 それが「文政七年之春 御藏前八幡宮ニ於而 奉納力持」(ぶんせいしちねんのはるおくらまえはちまんぐうにおいてほうのうちからもち)であります。
 東京都が進めていた隅田川両岸の遊歩道整備で台東区エリアで唯一残っていた厩橋と蔵前橋間の遊歩道が完成し平成26年8月2日に正式にオープンしました。この隅田川遊歩道・テラス整備事業(厩橋~蔵前橋の間)では、当社ゆかりの前述せる錦絵「奉納力持」の陶板画レリーフなども掲示されました。
 下の写真はその遊歩道・テラスに掲示された錦絵です。

重複するかも知れませんが、素人の力持は文化後期より流行し、
この錦絵が描かれた頃には絶頂期を迎えたように素人の力持を称える<文化>がありました。
 上の絵の向かって一番右側に描かれている「大関金藏」は、当時有名な素人の力持で、神田明神下の酒屋・内田屋の金藏と思われます。
これらの錦絵は、奉納力持の記念として制作されたものですが、絵のなかに当時の日本酒の銘柄が入った酒樽が描かれている事から、
これら3枚の錦絵は、そのまま宣伝用のポスターとして使用されたのではないかとも言われています。
 また、この奉納力持が開催された御藏前八幡宮(現・藏前神社、旧・石清水八幡宮)は、勧進大相撲発祥の地であり、天保4年(1833)に本所回向院が定場所となるまでは、回向院・深川八幡と共に勧進大相撲興行が打たれた3大拠点の一つでした。この場所では幾多の名勝負が繰り広げられ、なかでも、天明2年(1782)2月場所では、63連勝の谷風梶之助が小野川喜三郎に敗れた一番は江戸中が大騒ぎとなりました。